-愛媛FCはなぜJ2最下位から浮上できないのか?-②

第二弾を書くことになった経緯に、ツイッターでこのようなコメントを頂いたことがあります。

前回の記事は「監督のコミットメジャーとセカンドメジャー」「愛媛FCのポゼッションサッカーにおけるボランチ(森谷)」についてお話をしました。

このいずみさんはワントップ(スリートップの中心)について言及いただきました。

そこで、今回の記事では愛媛FCにおけるトップ陣(ワントップ&シャドー二枚)について色々考えてみようかなと思います。

まず、大前提として、私としては”愛媛FCの攻撃はワントップだけで考えるのではなく、シャドーを合わせた三枚で考えるべき”と考えています。

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こちらは2020シーズン最終節の愛媛FCのフォーメーション。
多くの方がご存じの通り、川井監督は3-4-2-1(3-4-3,3-2-4-1)でのポゼッションサッカーを目指していました。

このフォーメーションはシステム次第で変化しますが、基本的に攻撃の方法は前3枚によって変化します。

そこで、過去にあった成功例と今年の愛媛を比較して、愛媛はどうあるべきだったかを考えてみようと思います。


✓ 成功例 [トップ&シャドーラインブレイク型]

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愛媛FCの攻撃の理想形(というよりチームとしての理想形)のパターンとして、

トップ(この試合では先発藤本)がポストプレーを積極的に行い、シャドー(この試合では神谷&近藤)が裏抜け(ラインブレイク)する

というものが挙げられます

これが顕著に出たのは2019シーズンの話しになるんですが、2019/8/10のジェフユナイテッド千葉戦(Away)です。

試合自体は2点を先制された愛媛ですが、後半に3点を奪取し、逆転で愛媛が勝利しました。

そもそも愛媛のポゼッションサッカーの理想形をみなさんどう考えますかね?

”ウイングバック(ウイングレーン)、ボランチとトップ(セントラルレーン)の三人が作ったトライアングルをシャドーがそれを壊す形でハーフレーンから抜け出し、ゴールを目指す。”

と考えています。

川井監督は”トライアングルを壊す”クラッシャーが敵へもたらす影響を考えていたように私は汲んでいました。

もちろんトライアングルは誰が作ろうと問題ではなく、シャドーが裏抜けするというのが決まりの形だったようにも思い出されます。

明確に5レーンと言って戦術構築していたわけではないでしょうが、類似した戦術を敷いていたように思います。

これは当試合の後半20分のシーン。

このとき山瀬は後半からはいってボランチへ、このシーンは高い位置を取って、ハーフラインまでのビルドアップは神谷と前野が担当していたスイッチシーンでした。

藤本が中央に陣どり、やや逆サイドを意識している状況。

よって藤本とは逆のサイドでトライアングルをビルドアップしながら上がった前野とワイドに張った下川、ボランチの山瀬の三人で形成、その間を近藤がタイミングよくブレイクラン

このシーン自体は得点にはつながりませんでしたが、結果的に近藤のランはデコイとして、下川からのクロスに近藤とスイッチしてニアサイドに走りこんだ藤本が合わせた理想的な崩しでした。

このとき藤本はポストというわけではないですが、スペースを作って、最後はスイッチランしながら、フィニッシュ、というのはポストプレイヤーとやってること自体は同じかと。

このシーンはハイライトにも入ってます。見てみてください。

今年の愛媛には正直いってあまり見られないシーンでしたね。

丹羽がシャドー起用されたときに何本か見られた程度。残念無念。


✓ 成功例「3人がフリーマン+縦関係型」

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もう一つの成功例として、シャドーの一角がフリーマンになり、時間をつくったり、デコイランをしたり、決定的なパスを出したりと、フリーマンになる選手の特徴や才能を生かしたシステムが挙げられます。

”ポゼッション”と明言することはできませんが、立派な成功例として紹介したいと思います。

このときもう二人(トップともう片方のシャドー)は縦関係になることが多いです。

明確にそう決めているようには見えませんが、ポジション順の縦関係になっていることがよく見受けられました。

そもそもこのシステム自体は下川や長沼(ときに神谷、近藤)のウイングを生かしたもので、フリーマンがワイドとのコンビネーションでサイドを崩し、あげられたクロスに中の二人乃至はもう片方のウイングバックやボランチが詰めるというのが定石だったため、もう二人が縦関係になっていたと考えるのが、最有力臭いですw

見てほしいのは、前半35分のシーン。

この時はボランチの山瀬から下川へロングフィードが入ったのを合図に、近藤が正規のポジションを離れて、下川サイドへ寄りました。

この後、下川をマークする相手の背後へ抜けてクロスを上げます。遅らせて中に入った吉田が合わせ、こぼれたところを予め入っていた藤本が決めたという流れです。

これは近藤のスプリントや、ラインブレイクセンス、運動量などの特徴を生かしたフリーマンシステムでした。

決して、画像通りのフリーマンシステムが常というわけではなく、神谷のドリブルセンスを生かして、二人がデコイ的な動きをしてスペースをつくったり、今年で言えば、森谷がシャドー起用されたときには決定的なパスを出すためのタメ作りをしたり、と戦術の幅は広いと言えます。

もちろんこの二人に対しても、ウイングが切り込んでパス先になったり、デコイランでスペースを作ったりと、やはりコンビネーションは不可欠でした。

 


✓ 失敗例「3人のうち2人の動きが被る」

これは愛媛FC、めちゃくちゃやりますwww

似ているようですが、上記のフリーマンシステムとは一線を画しています。

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先発はこちら。茂木がウイングバック起用されたため、基本のビルドアップのシステムは前のが左SB、森谷が右SB、西岡と山崎が中央、のラインを形成し、川村がフォーメーションのほぼ中心に陣取っていました。

松本はこの川村に目をつけました。

前線三人が低いラインで停滞していることから、起点3人のうち、前野と森谷はウイングバックの裏抜けを狙ったパスがメイチの攻撃と判断できます。

つまり川村はビルドアップとして縦パスいれても、効果的でないと判断し、ワイドの他の起点に散らせます。

この試合一貫してこのパターンでした。

となれば、川村を囲むのは自然です。徹底して川村をマークしました。

覚醒した川村君ならば、多少はかわします(何度もかわしてます)。

しかしここから奪われてショートカウンターを何度見たことやら。。。

では具体的に前三人に注目した話をしていきましょう。

まず一つ目がこのシーン。

森谷、川村、吉田の三人のトライアングルを右サイドで作りました。

前述のとおり、森谷は右SBでビルドアップに関わりましたし、効果的な裏抜けとマッチアップの関係から、長沼が森谷のパス先第一候補でしょうから、なおのこと、ここでトライアングルを作成します。

しかし、残念だったのはこのときの前3人のトライアングル外の二人です。ここでは有田と横谷が当たりますが、見ての通り、ノーアクションです。

まさに動きが被っている状態(ましてや位置まで被っている状態)。これでは敵からしたら何も怖くありません。

何もしないんですから。

これは敵のディフエンス優先度が長沼に集中し、ディフエンスラインが左下がりになります。

これでは長沼に通ろうが、何も怖くありません。

さて、二つ目のシーンですが、こちら

このときは森谷が完全フリーで自由にパスが出せる状態。

しかし、横谷&有田は同じタイミングでかつ平行な位置で裏抜けを仕掛けます。

縦関係なら時間差で入ることでディフエンスに淀みを作ることも可能ですが、もちろんこれなら敵の対応は簡単です。

注目すべきなのは、二人が飛び出したスペース(バイタル)をシャドーのもう一角(吉田)が生かそうとしていない点です。

もしこのシーンで吉田が中央に受けにスライドした場合、二人の裏抜けは生き、フリーで受ければそのまま左足一閃。

CBが残れば有田or横谷のフリー側へ。

無理なら、おそらく視界に入っているであろう前野へのバックパスでも広がったでしょう。

などなど、選択肢がたくさん増えました。

しかし、このシーンのように無理やりフライスルーを出すと、森谷も有田も横谷も生きません。


来季残留の藤本への期待と課題

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今期は10番として奮闘してもらったんですが、同じFWとしては、有田、丹羽に続いて三番手といったところでしょうか。

愛媛の形として成功例と失敗例を見ていただいたと思うのですが、成功、特に1例目を目指すなら、やはりトップのポスト性能は高いに越したことはありません。

ポストプレーからの展開で見ても、一試合における平均敵陣内パス数も、藤本は1.7に対して、有田4.7、丹羽7.0と少ない印象です。

しかし、私は藤本は愛媛向きのFWに思います。

ディフェンス性能の高さが光ります。タックル成功率は100%ですし、奪った後のパス成功率は80%で展開力も申し分ありません。

一試合平均ラインブレイク数は有田、丹羽には及ばず5.7(二人よりも試合数が少ないのにこの数字は一見痛いです。)ですが、ポストプレー数は5.4と勝りました。

成功例1を目指すなら、藤本の奮起は必要不可欠と言えるでしょう。

今期はケガにも悩まず、前前シーズンのような活躍を期待したいです。


展望

来季への不安が残ってしょうがないまとめとなりましたが、神谷や長沼など代表クラスの能力がないと達成できないサッカーではありません。

残ったメンバーや愛媛に復帰したメンバーで協力して、監督は変われど、またあの疑似5レーン、見たいものです。

加えて、この記事作成にあたり、Football.LABさんの愛媛FCに関するデータをたくさんいただきました。

ありがとうございました!

以下にデータを参考にさせていただいたfootball.labさんのリンクを載せておきます。

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